【読了】論語物語
作成日: 2023年06月15日 / 最終更新日: 2023年06月27日
はじめに
下村湖人著「論語物語」を読んで。
以前に「論語と算盤」を読み、「論語」への興味が湧いた。
この出会いは、これまで西洋哲学ばかり触れていた私のとっては新鮮で、心にすっぽりと落ち着く感覚を得た。
論語に触れる
私は「論語と算盤」が、論語との初めましての対面となった。
しかし、読みづらいのも事実で読破するのに、半年は要したのではないか。
これに比べれば「論語物語」は1ヶ月と少しで読破できた。
そして何よりも、読みやすい。
エッセンスに触れる
「論語物語」のカバー裏に書かれていた通り「論語のエッセンス」が盛り込まれていて、スラスラ読めるし考えながら読める構成になっている。
中には渋沢栄一が引用した、思考の原点と言える句もあったりして、楽しみながら読むことができた。
漢文とはおさらば
中で引用されている論語のテキストも、日本語化されていて古い言い回し(?)はあるものの、極めて読みやすい。
内容も物語風に書かれていて、その要所要所に論語の句が交じる構成になっている。
孔子と門人と、それぞれの門人との関係も読んでいて面白いアクセントになっていた。
西洋哲学との決定的違いを感じる
どちらが良い悪いと考えるわけではないが、身体に馴染むのはどちらかと聞かれれば、迷わずに東洋哲学を選ぶ。
と言ったはものの、触り程度しか学べていない訳だが。
間違いなく、今の社会は西洋哲学の下で廻っていて、それを意識しないで生活している。
しかし、改めて考え違和感を覚えるようになった。
科学、経済においては西洋哲学は圧倒的な成功を導いてきた。
それに比べ日陰者のような東洋哲学。
そんな東洋哲学も、得意な分野があると感じる。
それは対人関係、日常生活、ここで言う対人というのは人相手に限った話ではない。
そして感じたのは、西洋哲学が「手続き」を重視するのに対して東洋哲学は「現実」である。
「手続き」というのはなにも、単なる手順と結果だけの話ではなく、その考え(哲学)に至る手順の話である。
つまり、これが論理的思考に当たる。
一方で「現実」というのは、論語の言葉を借りれば「天命」と考える。
何かを成すには己の感情と現実を合わせて考える。そして今があるのは天命である。
つまり、これが感情論と言われる思考だと考える。
これについては、これからも考えていきたい。
就活中に読まないほうがよかった
今、私は新卒就活真っ最中な訳だが、その時期に読むべきではなかったなと思っている。
というのも、就活という分野は間違いなく西洋哲学の両分となっている。
どんなに人柄や熱意と言っても、それを計るのは数十分の面接と書面のみ。
こちらは力となりたいと思っていても力になれない。
一先ず、私は力になりたい、求めるであろう人材にマッチしている企業にエントリーする。
そして受かるか受からないか、いつかの未来でそれを天命と呼べることを祈っている。
おわりに
東洋哲学を言語化できるかと言われれば私如きでは一切出来ない。
という意味で「論語と算盤」「論語物語」は読んで良かったと思っている。